日本犯罪社会学会 Japanese Association of Sociological CriminologyJASC

日本犯罪社会学会倫理綱領

前文

 犯罪社会学の研究・教育・学会活動を行うに際して、会員は、公正を維持するとともに行動の説明責任を果たし、社会の信頼を損なわないよう努めなければならない。 日本犯罪社会学会(以下、「本学会」)は、会則第2条の定めにもとづき、本学会の目的を達成するとともに、犯罪社会学の研究および教育に伴う社会的責任を果たすため、ここに「日本犯罪社会学会倫理綱領」(以下、「本綱領」)を制定する。本学会会員(以下、「会員」)は、本綱領を十分に理解し、つねに遵守しなければならない。また、犯罪社会学の教育・指導に携わる際は、学習者に対しても本綱領の内容を十分に伝え、倫理上の問題が生じることのないよう注意を促さなければならない。

第1条(公正と信頼の確保)
犯罪社会学の研究・教育・学会活動を行うに際して、会員は、公正を維持するとともに行動の説明責任を果たし、社会の信頼を損なわないよう努めなければならない。
第2条(研究活動の倫理的妥当性)
会員は、研究成果が社会に及ぼす影響を自覚し、研究活動の目的と手法の倫理的妥当性を考慮しなければならない。
第3条(プライバシーの保護と人権の尊重)
調査研究を実施するに際して、会員は、当該調査の一切に関する説明責任を負うとともに、調査対象者から協力の合意を得た上で、調査対象者のプライバシーの保護と人権の尊重に最大限留意しなければならない。また調査研究に関する教育を行うに際して、学習者に調査対象者のプライバシーの保護と人権の尊重について十分に理解させなければならない。
第4条(差別の禁止)
会員は、出自・性別・性的指向・年齢・宗教・思想信条・民族的背景・障がいの有無・家族状況などに関して、個人や団体などに対して差別的な扱いをしてはならない。特に犯罪の当事者・近親者・各種関係者および団体などが二次的・三次的被害を受けることのないよう最大限留意しなければならない。
第5条(ハラスメントの禁止)
会員は、各種のハラスメントにあたる行為をしてはならない。
第6条(研究資金の適正な取扱い)
会員は、研究資金を適正に取り扱わなければならない。
第7条(知的財産権侵害の禁止)
会員は、研究の独自性を尊重し、他者の著作権、肖像権、商標権などの知的財産権を侵害してはならない。
第8条(研究成果の不正の禁止)
会員は、研究成果の剽窃、改竄、捏造、偽造、二重投稿などの不正行為をしてはならない。
第9条(研究成果の公表)
会員は、研究の公益性と社会的責任を自覚し、研究成果の公表に努め、社会的還元に貢献しなければならない。但し、研究活動の過程で得た資料の中に対象者の個人情報が含まれる場合は、個人情報の保護に細心の注意を払い、研究成果の公表に際しては、個人や団体が特定されることがないよう匿名化するなどの必要な措置を講じ、プライバシーの保護に最大限留意しなければならない。また個人情報の公表について調査対象者の承諾を得ている場合には、その旨を明記した上で、承諾を得た範囲に限定して公表しなければならない。
第10条(相互批判および相互検証の場の確保)
会員は、開かれた態度を保持し、相互批判および相互検証の場の確保に努めなければならない。また会員は、他者の適正な研究活動を誹謗、中傷、妨害してはならない。  

 

付則

1.本綱領は、2016年10月29日より施行する。

2.本綱領の変更は、日本犯罪社会学会理事会および総会の議を経ることを要する。